アレルギーと衛生仮説

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アレルギーと衛生仮説

作成者: GEMFOODIES エグゼクティブコンサルタント 本城圭子(もとしろけいこ)

アレルギー疾患における「衛生仮説」が唱えられた根拠として、感染症が死亡原因の第一位だった時代にはアレルギーを発症する人が少なかったが、生活環境の改善と感染症発症のリスクの低下とともに、アトピー性皮膚炎や喘息といった、本来は自身を細菌などからの感染を守るべき免疫細胞が、自身の細胞を攻撃することによって引き起こされる病気(=アレルギー)を発症する人が増えてきたことがきっかけです。畜産業を営む人たちや、アーミッシュという、アメリカやカナダに住む人々で、現代技術の導入を拒み、電化製品もほとんどない中で自給自足の生活を行っている人たちには、アレルギー発症率が低いことが、この「衛生仮説」を後押ししました。

ところで、この「アレルギー」という病気ですが、自分の免疫細胞が自分自身を攻撃することによって引き起こされる病気、となっていますが、リウマチやSLE(全身性エリテマトーデス)、血管炎症候群や、今急増している炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)も、同じく自身の免疫細胞が自身を攻撃することによって引き起こされる疾患ですが、こちらは「膠原病」「自己免疫疾患」と呼ばれています。

同じように、自身の免疫細胞が自身の細胞を攻撃する病態であるのに、一方は「アレルギー」と呼ばれ、もう一方は「自己免疫疾患(膠原病)」と呼ばれる。医療従事者や研究者などの専門家以外の人で、この違いを簡単に説明できる人は少ないかと思います。

免疫細胞の種類が云々など、難しい言葉は使わないで、簡単に説明すると、アレルギーを引き起こす組織が限られている、ということです。アレルギー疾患というと、アトピー性皮膚炎、喘息、食物アレルギー、金属アレルギー、薬物アレルギー、花粉症・・・色々ありますが、症状が出ている組織は、皮膚、食道、肺、粘膜と限られています。実は、これらの組織はすべて「外界と接している組織」なのです。外界と直接触れることのない筋肉内組織などではアレルギー症状は出ないのです。

つまり、アレルギーとは「外界と直接接する上皮組織(一番外側にある組織)を中心とした生体防御の最前線で起こる、免疫細胞による自身の細胞への攻撃」によって引き起こされる病態、となるのです。

現在、「衛生仮説」は、喘息や花粉症のように、「外界から吸い込んだ抗原に対する反応」が当てはまるとされており、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎は、この「衛生仮説」には当てはまらないと考えられています。

つまり、すべての「アレルギー感作の成り立ち」=「衛生仮説」ではないのです。

参考文献:

松田明生.「基礎から見た衛生仮説の再考」.アレルギー Vol. 68. No. 1. 2019. 一般社団法人日本アレルギー学会

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