高齢者の骨粗しょう症の原因はどっち?

投稿者:GEMFOODIES

高齢者の骨粗しょう症の原因はどっち?

作成者: GEMFOODIES エグゼクティブコンサルタント 本城圭子(もとしろけいこ)

「骨粗しょう症」というと、「高齢女性の病気」というイメージがある人が多いかと思いますが、骨粗しょう症は男性でもなる人はいますし、若くても骨粗しょう症になる人もいる、誰もが発症する可能性がある病気です。

とはいえ、やはり一番多いのは、高齢の女性です。閉経前の女性の身体を守っているのは女性ホルモン(エストロゲン)です。エストロゲンは日本語で「卵胞ホルモン」と言われており、漢字が意味するとおり、「卵子」に関係するホルモンで、卵巣の中で「卵子」を育てる働きをしています。しかし、40歳を超えたころになると、身体は「妊娠・子育て」の役目を果たしたと言わんばかりに、体内で作られるエストロゲン(女性ホルモン)の量はどんどん減ってゆきます。このエストロゲンの減少が始まるころから(だいたい閉経5年くらい前から始まります)から閉経後約5年間の、約10年間が「更年期」と呼ばれる、女性の体調が大きく変化する時期です。

高齢女性の場合、骨粗しょう症の問題が出始めるのが、閉経から10年後くらいからと言われています。骨粗しょう症とは、漢字で「骨粗鬆症」と書きますが、漢字の通り、骨が粗く鬆(す)が入った症状になる疾患です。

高齢になると女性だけでなく男性も骨粗しょう症になる人がいますが、加齢に伴う骨代謝の変化について、実はまだ議論中なのです。

骨は、古くなった部分を壊す細胞(破骨細胞)と、古くなって取り除かれた部分を補修する細胞(骨芽細胞)の二つの細胞によって、常に体を支えるだけの強度を保てるように「骨の新陳代謝」が行われています。ちょっと前のテキストには、閉経期の骨代謝は、破骨細胞(古くなった骨を壊す細胞)の働きと骨芽細胞(新しく骨を作り替える細胞)はまだ活動的だが、骨を新しく作り替えるスピードより古くなった骨を壊すスピードの方が早い(破骨細胞>骨芽細胞)ために骨がスカスカになってくるが、高齢者になると、骨を壊す細胞(破骨細胞)、骨を作り替える細胞(骨芽細胞)の両方の働きが低くなると考えられている、と書かれています。

しかし、近年の複数の研究では、実は高齢者になっても破骨細胞・骨芽細胞ともに活動的で、その両方の働きが低くなることはない、という結果が出てきています。

そのため現在では、高齢者の骨粗しょう症発症の原因は、骨代謝の全体的な低下ではなく、骨代謝のバランスの問題と考える専門家が増えてきています。

現在使用されている骨粗しょう症の治療薬の種類には複数ありますが、第一選択肢は、やはり食生活の改善と日常生活(運動習慣)の是正です。骨の新陳代謝を促すには、ある程度の骨への負荷が必要なため、日々の生活の中に運動習慣を取り入れるのは必須です。骨=カルシウムというイメージが強いかと思いますが、カルシウムだけ摂取していても骨に蓄積されません。ビタミンDやビタミンKといった脂溶性ビタミンも必須です。しかし、最近は行き過ぎた日焼け対策によって日光を浴びることが少なくなったため、慢性的なビタミンDの不足が問題視されています。ヒトにとってビタミンDは唯一太陽を浴びることによって体内で合成できるビタミンです。過度な日焼け対策は骨粗しょう症発症の一因になりかねません。日焼けが心配な人は、ビタミンDを含む食材(乾燥しいたけなど)を積極的に摂取するように心が得ることが大切です。

それでも骨粗しょう症が進行してしまった場合や加齢に伴う変化の進行が見られた場合には、骨粗しょう症治療薬の出番となるのですが、現在の研究の結果より、骨を補強する薬ではなく、破骨細胞による骨の破壊を抑制する薬の方が高い効果が期待されています。

参考文献

森本忠嗣 et al.「高齢者の骨代謝回転の検討」日本骨粗鬆症学会雑誌.Vol. 4 No. 4. 2018. pp. 59-64(497-502).

 

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