お腹周りに溜まる脂肪細胞。夏を迎えるときには薄着で「ウエスト回り」が気になり、冬になれば、温泉で「ウエスト回り」が気になりと、結局年中気になるウエスト回り。

お腹周りの脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪の二つに分けられます。皮下脂肪は女性に多く、メタボには関与しない脂肪組織です。メタボのシンボルは内臓脂肪の方です。

女性に多い皮下脂肪は、老化とともに萎縮してくるそうです。高齢女性が痩せてくるのは、この辺に理由があるそうです。

さて、メタボのシンボル「内臓脂肪」ですが、「太っている人」の問題、と思っていませんか?

この「内臓脂肪」、実はとっても厄介なのです。

皮下脂肪の場合は、皮膚の下に蓄積する脂肪なので、ある意味、制限がありません。欧米人で極端に太った人をテレビなどで見たことがあるかと思いますが、皮下脂肪は骨格の外に蓄積するため、皮膚が伸びる限り、蓄積し続けることが出来ます。

しかし内臓脂肪の場合は、臓器の周りに蓄積する脂肪細胞で、背中側には背骨があるため、ここが限界値となります。お腹側は、骨の制限がないため、ある程度までは外に突き出ることが出来ますが、皮下ほどの自由なスペースはありません。そのため、一見すると中肉中背や痩せ型に見える人でも、内臓脂肪が蓄積していることは多々あります。

それでは、脂肪細胞内に許容範囲いっぱいに中性脂肪が溜まり、これ以上入らない!となったら、どうなるかというと、実は、本来は脂肪細胞が蓄積しない肝臓や骨格筋に(異所性脂肪として)蓄積し、肝臓や骨格筋の機能を邪魔します。近年は、心臓の周りに(異所性に)脂肪が蓄積していると、それが心臓の働きに大きな影響を及ぼすことが問題となっています。

しかも、皮下脂肪であれ内臓脂肪であれ、「細胞」なので、当然ながら老化します。

この細胞の老化も生活習慣病やがんの発症に大きく関わっていることが近年明らかになってきました。

皮下脂肪は老化すると萎縮し、男女関係なく、内臓脂肪が増加することが分かっています。

老化した内臓脂肪細胞は、炎症を引き起こす物質を放出し、免疫細胞を誘導する(老化シグナルを出す)ため、全身に慢性的な炎症を引き起こし、血管内では動脈硬化が進行し、高血圧が進行し、骨格筋は糖の取り込みが阻害され、高血糖が引き起こされたりと、加齢とともに増える様々な生活習慣病の病態を作り出していることが分かってきました。

女性の体形を崩す最大の敵は、やはり皮下脂肪でしょう。

それでは、「脂肪吸引」して脂肪の数を減らしたら、生活習慣病発症のリスクは減るのでしょうか?

答えはNOです。脂肪吸引で除去される脂肪は、皮下脂肪であり、内臓脂肪ではありません。皮下脂肪は、メタボの原因ではないため、皮下脂肪の数を減らしても、生活習慣病発症のリスクの低下にはなりません。

内臓脂肪(白色脂肪細胞)の中身は中性脂肪です。中性脂肪は、余ったグルコース(糖)が貯蔵エネルギーとして蓄えられた、いわば「余剰エネルギー源」です。一度ため込んでしまった内臓脂肪(余剰エネルギー源)は、エネルギーとして使うしか、減らす方法はないのです。

参考資料

実験医学.Vol. 36 No. 16. 2018.「特集 脂肪の量と質を制御する」.羊土社